無痛分娩Painless
無痛分娩の方法
硬膜外麻酔
脊椎の中の硬膜外腔にカテーテルを留置して局所麻酔薬や少量の医療用麻薬を投与します。麻酔をしてから20分～30分程度で痛みが和らぎます。この方法は、産婦さんや胎児への影響が最小限に抑えられる安全かつ確実な方法で、無痛分娩の標準的な方法として広く普及しています。硬膜外麻酔による無痛分娩では、知覚神経はしっかりブロックされますが、運動神経はあまりブロックされないので、分娩時には産婦さんにいきんでいただくことが可能です。
硬膜外麻酔の合併症として、分娩後の頭痛、分娩中のかゆみや体温上昇などがあります。
また生命に関わるような合併症として局所麻酔中毒や高位脊髄くも膜下麻酔などがあります。しかしこれらは非常に稀なことですし、当クリニックでは、たとえ起こったとしても大事に至ることはないように、充分な体制を整えております。
脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔（CSEA）
脊椎の中のくも膜下腔と呼ばれる場所に薬剤を投与して痛みをとった後、硬膜外麻酔に移行します。麻酔を開始してから5分～10分程度で痛みが和らぎます。分娩の進行が早く、いそいで痛みをとりたい場合に行なうことがあります。
DPE（硬膜穿刺併用硬膜外麻酔）
脊椎の中の硬膜に小さな穴をあけた後に硬膜外腔に薬を投与する方法です。
麻酔を開始してから10分～20分程度で痛みが和らぎます。硬膜外麻酔とCSEAの中間のような効果が期待できます。
実際にどの方法を用いるかは、その時の状況に応じて産婦さんと相談しながら決定しています。
※以下のような条件がある場合は、背中の麻酔が使用できないことがあります。
- ・血がとまりにくい状態
- ・脊椎の変形や外傷
- ・神経の病気
- ・穿刺部位の感染
無痛分娩の診療体制
1）麻酔科医師による無痛分娩
当院では麻酔科医と産婦人科医が協力して、無痛分娩をおこなっております。
初産婦さん、経産婦さんともに、原則として計画分娩（あらかじめ分娩の日を計画し、陣痛を誘発する処置や薬剤を使い分娩すること）をおすすめしております。計画無痛分娩の入院日は臨月に入ってから子宮口の状態や児の下降具合などを参考に産科医が決定します。
自然の陣痛を待って分娩に臨みたいと希望される妊婦さんにも対応しております。その場合、夜間や休日などでは麻酔を導入するまでお待たせしてしまうことがあります。
当院では夜間や休日でも可能な限り無痛分娩に対応できるように勤めておりますが、
安全に無痛分娩をおこなえないと判断される場合には、対応できない可能性があります
ことをご承知おきください。
無痛分娩マニュアル、無痛分娩看護マニュアルを作成し、分娩に関連した急変時の
対応、危機的状況に対応するシミュレーションを年1回実施しております。
| 無痛分娩マニュアル |
| 硬膜外無痛分娩看護マニュアル |
| 無痛分娩に関する説明・同意書 |
2）急変時の体制
妊娠中や入院中に異常がみられた場合は、速やかに対応し、必要時に応じて高度医療機関へ搬送いたします。
※新潟市医師会の二次輪番表に基づいて、調整します。
- ・新潟大学医歯学総合病院
- ・新潟市民病院
自主点検表の項目に沿って、麻酔器、AED、薬剤などを整備しております。
危機対応シミュレーションの実施歴
当クリニックでは、危機対応のためのシミュレーションを定期的に行なっています。
- ・2025年3月24日 母体のCPA感知とCPR
無痛分娩の診療実績
当クリニックでは、2025年1月から無痛分娩を提供する準備を始めました。 4月30日までに32件の無痛分娩を実施いたしました。
無痛分娩麻酔管理者
小嶋 宏幸
資格：麻酔科標榜医 日本麻酔科学会認定麻酔科専門医 臨床研修指導医
| 2017年4月 | 東京女子医科大学病院麻酔科学教室 入局 麻酔科後期研修開始 |
| 2018年6月～2020年3月まで | 国立がん研究センター中央病院 麻酔集中治療科 のち帰局 |
| 2022年3月 | 麻酔科後期研修修了 同院で勤務継続 |
| 2022年8月～2023年7月まで | 埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科のち帰局 |
| 2024年7月 | 退局 |
無痛分娩実施歴
| 2021年頃より | 東京女子医科大学病院で無痛分娩従事 |
| 2022年8月～2023年7月まで | 埼玉医科大学総合医療センター産科麻酔科にて産科麻酔研修 |
| 2023年8月～2024年7月まで | 東京女子医科大学病院にて産科麻酔担当 |
| 2021年9月12日 | J-MELS（日本母体救命システム普及協議会） ベーシックコース講習会受講 |
| 2022年6月19日 | J-MELS（日本母体救命システム普及協議会） インストラクター取得 |
| 2023年6月24日 | 日本周産期新生児学会新生児蘇生法 専門Aコース修了 |
その他に、複数の麻酔科専門医が非常勤医師として勤務しております。
無痛分娩費用
通常の分娩費用に加えて
￥100,000（無痛分娩予約をしていない場合は、￥120,000）
となります。
産科麻酔外来
無痛分娩を希望される妊婦さんには分娩前に産科麻酔外来を受診いただいております。しかし無痛分娩を希望していない妊婦さんであっても、分娩中に無痛分娩を希望されたり、分娩中に緊急の帝王切開が必要になったりすることもあります。このような時にあわてることのないよう当院で分娩を予定されている妊婦さんには、分娩前の産科麻酔外来の受診をおすすめしております。
1）外来費用について
当院にて分娩予約をしている妊婦さんは、無料です。
他院に通院中の妊婦さんで、当院の産科麻酔外来受診ご希望の場合は、 ￥5,000をいただいております。
2）予約の取り方
当院に通院中の妊婦さんは、32週～36週ころの妊婦健診時にご予約ください。
他院に通院中の妊婦さんは、予定日が決まってからお電話にて予約をおとりください。
無痛分娩クラス
当院に通院されている方に、ホームページ内の動画配信ID・パスワードをお伝えしております。
疑問・質問等ありましたら、お気軽におたずねください。
